広い,広い,荒野に,多くの人がいて,つながりの薫りを放っている。
quote:ドメインを管理しているICANNは,DNSルートサーバーに初めてIPv6ネームサーバーアドレスを付け加えた。IPv6アドレスによって現在のIPv4アドレスで起こりえるIPアドレスの不足が解消でき,世界中のすべての人がIPアドレスを持つことができるようになると推測できる。
何度も話していることだけど,テレビもラジオも新聞も電話も郵便もなくなる日は来るが,ネットワークがなくなる日は来ない。人はすべての情報とモノをネットワークから得るようになり,すべての伝達と連絡をネットワークで行うようになる。テレビもラジオも新聞も電話も郵便も,すべてネットワークですむようになり,役目を終えて消え去る。IPv6のアドレスによって,地球上のすべての人が固有のIPアドレスを持ち,それが身分証明ともなる。そして,クーラーも冷蔵庫も電子レンジも,玩具も携帯MP3プレイヤーも自家用車も,すべてがIPアドレスを持つ(使い方は想像してみて欲しい)。それは,そんな未来の話ではない。もう,すぐ,の話だ。
街中のように山ほど人が目に入るわけではないが,その荒野にはとてつもない人がいる。いつでも声をかけることもできるし,触れ合うこともできるようになる。知り合いになる,ということは,アドレスを知り合う,ということでしかない。そしてその地に,どんな種子の花を咲かせてもいい。ある人は蒲公英の種子をまき,ある人は百合の種子をまき,ある人は向日葵の種子をまく。どんな花も,邪魔な花などない。花をみて人はその人に話しかけることができる。その花は,情報である。その情報は,音楽ファイルや動画ファイルかもしれないし,普通は目にすることがない秘匿の書類かもしれない(WIRED NEWSの記事)。すべての人がv6アドレスを持ち,世界はそれを基礎として動く。街中で突然知らない人に話しかけることなど恥ずかしくてできない女の子でも,ネットワーク上には幾万の人に話しかけることができる。このテキストで,わたしがあなたに話しかけているように。ネットワークとは,そも,そういう場所であるのだから。
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